2010年1月20日水曜日

自殺は他殺と同じ攻撃衝動を持つ

人は、なぜ自殺するのか。
精神疾患にかかったことのない多くの人にとっては、自殺をする人の心理について、理解ができないことだろう。

私は、自殺したいという人に接したことがある。
自殺したい人には、基本的に自制するよう説得できるようなものではない。ただ、ひたすら思いを聞き、あとは忍耐との勝負だ。
「家族がいるだろ」「他の人が心配するよ」と言っても聞かない。ただひたすら、この苦しい精神状況から抜けたいため、自分を消したいだけである。結果は考えていない。
駅で自殺すると鉄道会社からものすごい金額の請求が来るというのに、自殺者は飛び込む。これは自殺者が何も考えていないというのもあるが、他人に迷惑をかけてでも死にたいというのもあり、そのことを考えると「他人が心配するから」「迷惑がかかるから」という言葉で自殺者を減らすのは、まったく効果がないだろう。

それから、自殺したい人はこうも言った。
「人を殺したい」
つまり、自殺と他殺は表裏一体である。
他人と自分。殺す対象は違うのに、実は「殺す」という攻撃衝動の意味において、まったく一緒なのである。
現代において、他人を殺すことはあってはならないということである。その意味において、他人に対する攻撃衝動は抑えられる。しかし、攻撃衝動自体は消えないため、その向きはやがて自分に向き、他殺から自殺へと変わる。

攻撃衝動はどうしたら生まれるのか。
単純に言えば、ストレスだろう。叱責・憎しみによるストレスがたまると、攻撃衝動が生まれる。それが発散されないでいると、ある時期に発散する。それが他殺か、自殺か…

もし、「自殺したい」と言ったら、どのように対処すればいいだろうか。
人によっては原因を探りたいだろうが、それは無駄に終わるか、かえって症状を悪化させてしまう。
「自殺したい」と言ったら、ただひたすらその人の声に耳を傾けて、「いま、そういった気持ちになっているんだね」とその気持ちに寄り添うのが正しいと私は思って実践した。そのことで、たいてい落ち着きを取り戻してくれる。
相手を諭すことなく、相手の気持ちをくみ取る姿勢に徹するのが正しいと思う。もし、まわりにそういった人がいたら、そのようにしてほしい。

それから、自殺を減らす方法はないのか。
これには以下のことが必要と思う。
  • 精神科医療の社会的な認知がさらに必要
  • 自殺願望の人への正しい対象方法の認知
  • 企業経営者への救済制度の確立(アメリカにはあるはず)
  • 失業者への救済制度の確立(欧州にあるはず)

いずれにしろ、自殺者数は交通事故の死亡者数を数倍上回るくらい深刻な問題だ。
精神疾患については、誤った知識が社会に広がっていて、精神疾患者の就職や休職などについて、ひどい扱いをされることが多い。
社会は、うつ病等の自殺につながる精神疾患について、正しい知識を身につけてほしい。

有能な企業経営者・技術者・アーティスト等の人材がなくなるのは、社会的にも惜しいはずだ。

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