これで、毎日運転される、客車式ブルートレインは下記のみとなる。
・日本海(大阪-青森、24系25型)
・あけぼの(上野-青森、24系25型)
・北斗星(上野-札幌、24系25型)
北斗星は豪華な寝台が多く個室中心なので、気持ち的に微妙だが、伝統の24系25型客車を使用し、開放式2段式B寝台も連結しているので、こちらに該当すると思う。
一方で、定期ではないブルートレイン、厳密にはブルートレインではない寝台列車として、下記のものがある。
・トワイライトエクスプレス(大阪-札幌、不定期寝台特急、24系25型客車)
・カシオペア(上野-札幌、不定期寝台特急、E26系客車)
・はまなす(青森-札幌、客車寝台急行、14系・24系25型客車)
・きたぐに(大阪-新潟、電車寝台急行、583系電車)
・サンライズ出雲(出雲市-東京、電車寝台特急、285系電車)
・サンライズ瀬戸(高松-東京、電車寝台特急、285系電車)
寝台のないものとして、下記のものもある。
・ドリームにちりん(博多-南宮崎・宮崎空港、電車特急、783系電車)
・ムーンライトえちご(新宿-新潟、臨時快速電車、485系電車)
・ムーンライトながら(東京-大垣、臨時快速電車、183系・189系電車)
北陸の廃止で、厳密な意味での14系寝台客車がなくなってしまう。(一部、はまなすで使用している)
かつて、途中で分割併合を行うブルートレイン(さくら、いなほ、出雲、紀伊など)で大いに役立った客車だった。スハネフ14の車両にはディーゼル発電機が搭載され、24系のように電源車が必要なことがなかった。昔、14系ブルートレインを見たことがあったが、車掌室のあるスハネフ14に発電機から大きな音を発しながらホームを出て行くのを懐かしく思う。
客車寝台は残れるのか…
東京からは、すでに機関車でひかれる客車寝台はなくなり、寝台電車のサンライズ出雲・瀬戸と不定期快速電車のムーンライトながらのみとなった。理由は、東京や大阪などの電車密度の多いところで、加減速性能が低い客車はとても邪魔になってしまう。
そして、寝台料金はとても高い。一番安いB寝台で5~6千円くらいである。ビジネスホテルで宿泊すると、安いところなら5~6千円で泊まれる。しかも、テレビや風呂・シャワー室付きがほとんどだ。もちろん、個室である。設備面で不利なのは明らかだ。新幹線か飛行機で移動し、ビジネスホテルで寝た方が安心する人の方が多いと思う。その意味で、設備的に遅れた客車寝台は淘汰されてなくなっていくと想像している。
その上、24系25型客車の製造年は1974年から1980年とすでに30年は過ぎている。以前出雲号を見たときも車体の塗装がはげ、いたるところにさびが見えていたことを思い出す。あれから数年経っているのを考えると、24系25型客車の老朽化は相当進んでいるはずだ。
加減速性能、車両の老朽化を考えると、14系・24系25型車両はすべて淘汰されてしかるべきだ。
あとは、夜間勤務に伴う労働条件の改善・人件費の問題等があるだろう。夜間勤務は通常の勤務と比べて人件費がふくらむ原因となると思われる。また、夜行列車が途中駅で停車すれば、駅の駅員の人件費・水道光熱費が上乗せされる。さらに、貨物列車の運行の妨げになる可能性もある。
新しい夜行列車の形
夜行列車の新しい形は、次の3つだと私は考える。
- 新しく客車を新製し、豪華列車として運行する
鉄道好きの私にとって嬉しいのは、この形だ。
実際は難しいことだろうが、プレミアム列車専用の車両とし、ある程度の高速運転に対応できれば嬉しいと思う。
たとえば、トワイライトエクスプレスのように、「列車に乗る」こと自体がプレミアムになれば、この形が一番嬉しい。 - 電車化・気動車化する
東京・大阪近郊路線の間を縫って客車列車を運行するのは、ダイヤを乱す原因になる。なら、ダイヤを乱さないよう、電車にするのも一つの手である。その例がサンライズ瀬戸・出雲である。東京発のブルートレインがすべて廃止された中、この寝台電車だけが残った。285系電車は最高時速は130kmであり、起動加速度も485系を超えている。
気動車もキハ187系のような気動車であれば、起動加速度・最高時速もダイヤを乱すことはない。ただし、音の問題はあるだろう。
ただし、これらを実現するのであれば、おそらく285系のような寝台電車ではなく、単なる夜行列車であり、座席で寝ることになるだろう。サービス低下は免れない。 - 夜行列車から撤退
今回のような北陸・能登の例である。
代替手段として、新幹線を延伸したり、JR以外の飛行機・高速バスを利用してもらうことになる。
夜行列車の未来は暗い、しかし…
JRは民間企業である以上、まず利益を確保する必要がある。そのためには不採算部分に手を入れざるを得ない。
寝台電車は人件費の高い夜間に社員が働く必要がある上に、列車あたりに乗れる人も少ない。それに、昼間の長距離輸送手段として飛行機が普及し、ホテルの宿泊料金が安い今、夜行列車が増える可能性は少ないし、さらに減少するだろう。夜行列車の未来は暗い。
しかし、新幹線が開業し、在来線が第三セクターに移行しようとも、貨物輸送の線路は必要だ。線路が残れば、採算さえとれれば夜行列車を運行することは可能だ。
かつて、いままでの寝台列車より遥かにサービス設備を良くした20系寝台特急あさかぜが登場すると、皆が20系寝台を賞賛し、いつしかブルートレインと呼ばれて全盛期を迎えた。
そして、トワイライトエクスプレスは展望室があるなど豪華な設備で予約が難しいくらいの乗車率を誇るプレミアム列車である。
ならば、サービス設備の良い豪華で高級な列車を運行し、JR各社の枠を超えて本気で売り込みをかければ、日本に2~3本程度であれば生き残ってくれるのではないか。