2014年1月25日土曜日

テレビ等の今後の方向性は、4k/8kなどの「解像度」よりも「色深度」

私個人ネットの記事等で、テレビの発表とかで「4k/8kを進めるより、色深度を現状の8bitから拡大すべき」としきりに言っている。同様に、デジタルカメラ・デジタルビデオカメラでも、色深度を高めてほしいと思っている。

デジタルカメラで、最初に購入したのが640x480の解像度の写真しか撮れないものだったが、色が鮮やかで結構気に入ってた。次に1280x960の解像度で撮影できるデジカメを購入したけど、色の鮮やかさに欠けてたりして、残念に思っていた。

たしかに、解像度が良くなると、三脚等で固定すれば、細かい所まで鮮明な写真は撮れるだろうが、色の鮮やかさについては何年も前から停滞している状態でもある。
手ぶれしちゃうと、せっかくの高解像度も台無しに…

現状、RGBのそれぞれの色深度は、1バイトとしてキリがいい8ビットになっているが、この色深度はWindows95/98の時代あたりから変わっていない。1998年から今の2014年まで約15年以上も色深度が変わっていないのだ。
解像度については、1998年あたりはパソコンは1024x768あたりが主流で、テレビは720x480あたりが主流。さらに前はパソコンで640x400とかテレビゲームで320x224とかだったりする。今では、パソコンもテレビも1920x1080が主流。解像度はかなり進歩した。
デジカメやプリンタも、解像度はかなり進歩した。解像度という「細かさ」について言えば、10~20年の間でずいぶん進歩したし、その恩恵を受けたと思う。

一方で、色深度については、進歩していない。というより、プリンタでの印刷やテレビ表示等で、8ビットの色深度を超えるためにいろいろ工夫しているような状態。
色深度を拡張するためには、いろいろな部分で変更・改良が必要。OSの内部処理、画像を扱うアプリケーション、ビデオカードやグラフィックドライバ、印刷など。テレビ放送でも色深度を変更しようと思えば、色々手間をかける必要がある。
なお、画像フォーマットについてだが、jpegとgifは色深度はRGB8ビットを超えることはできない。jpeg2000・png・bmpについては、ファイルヘッダを見るとRGB8ビット以上が扱えるようにはなっているように見える。OS・アプリ側の対応が必要だが。
逆に考えると、これは新しいチャレンジであり、ビジネスチャンスでもある。何年も手を加えていなかった所へチャレンジする訳だから、色深度を高めることができれば、様々な分野で「色鮮やかさ」を売り込める。
特に、映画・古文書や古い写真などの文化財の保存といった業務用途ではその恩恵は大きいのではないだろうか。
フルHDから4k/8kに解像度を高める場合、帯域は単純計算で4~8倍の情報(圧縮等をすれば2~4倍位?)が必要だろう。対して色深度を2倍にしようとした場合、単純計算で2倍(圧縮すれば2倍未満)で済むだろう。
ちなみに、RGBの色深度を8ビットから16ビットにした場合、色情報は2の8乗の3乗(1677万色)から2の16乗の3乗(2814兆色)となる。色解像度を縦横2倍ずつするよりも圧倒的に情報量は増える。現在の液晶ディスプレイ・プリンタでは表現しきれない情報量だろう。
今のディスプレイ・プリンタで表現しきれない情報量ということは、今後何年もかけて高性能化のアピールに使えるという意味で、ビジネスチャンスが増えることを意味する。
4k/8kについては、大型ディスプレイ・パソコンであれば、たしかに訴求要素になり得るが、中・小型ディスプレイでは電子書籍以外に訴求要素になりにくい。その点、色深度による鮮やかさ等は大型・小型に関わらず恩恵を受けるチャンスがある。
色情報を増やすことは、大きなチャレンジではあるが、何年も進歩していない部分に対する挑戦であるからこそ、その恩恵は大きいはずだ。明るさ・コントラストといった色情報の幅は、今までとは比べものにならないほど広がる。

色深度拡張のチャレンジは、パソコン・スマホ・タブレット等では様々なアプリケーション・ハードが関わるので、移行に大きな時間がかかる。その点、テレビ分野における成長の方向性の舵を解像度から色深度に切り替えることができれば、「テレビ」の存在価値は急激に上がると思う。
RGB16ビット対応については、HDMI1.3規格のオプションのDeep Colorで対応している。テレビとハードディスクレコーダーで先行して対応していけば、パソコン・スマホ・タブレット等に対するアドバンテージになり得る。
多少の解像度不足やにじみがあっても、色の明るさ・コントラストなどの色情報が増えれば、多少粗くてもきれいに感じるはずだ。それは、色深度の情報をRGB各1バイトから2バイトと2倍にすることで実現できる。4k/8kみたいに画像データ量として4倍/16倍も帯域・ファイルサイズはいらない。

テレビの存在価値について、これまで通り高解像度化による4k/8kだけに突き進むのであれば、今後もさらに衰退の一途をたどるしかないだろう。